Diamond online の釜のレポ記事

標記に「路上生活者の「死」のリアル、無字の位牌に読経なしの無常」と題したフリージャーナリストの秋山謙一郎さんのレポートが載っている。
のっぴきならない「事情」を抱えて路上生活に転落した人も多い、大阪・西成「あいりん地区」。彼らの日々の生活はもちろん、「死」を取り巻く環境もまた、なかなかシビアだ。行政関係者や葬祭業者、そして路上生活者たちに聞いた、「あいりん地区の死」の現状をレポートする。(フリージャーナリスト 秋山謙一郎)

という前書きに次いで生活と死を綿密に取材した記事だ。この夏僕らは釜を題材にした映画を自主上映する。
主題はこの街に住む子どもたちで、大人は関係者以外ほとんど出てこない。
でも、この街で圧倒的に多いのは高齢化した男性だ。
それを無視して子どもの様子だけを釜だと思ってはいけないし、町から取得する教育(子どもたちの生きる知恵)は圧倒的にこのオッチャン達から得る。映画の中でSINGO★西成さんも「近所のおっちゃんに習った…ここではこうして生きなさい…」と歌う。
だから映画の実行委員さん、そして今後この映画を見ようとする人たちに長いけれど読んでもらいたい。知ってもらいたい。

【 路上生活者は死んだらゴミ扱い!? ささやかれる噂の真偽とは 】

 路上生活者が集う大阪・西成「あいりん地区」――ここで暮らす路上生活者たちは頑なに生活保護受給を拒む者も少なくない。なぜ彼らは行政によるセーフティネットを嫌うのか。

「死んで“ゴミ扱い”はないやろが!誰でも死んだら“仏様”とちゃうんかい?」長年、路上生活をしているというカツトシさん(本人によると70歳か71歳)はこう憤る。彼によると、身寄りのない者が生活保護受給中に死亡したら行政によりゴミ扱いされるのだという。だから生活保護を受けることなく70歳を過ぎても路上生活で頑張っているのだと話す。

 たしかに、ここ西成・あいりん地区で暮らす路上生活者たちの間では、「生活保護受給者が死亡した場合、ゴミ扱いされる」というまことしやかな噂を時折耳にする。

 しかしもちろん、これは路上生活者たちの誤解だ。

 大阪市では、身寄りのない生活保護受給者が亡くなった場合、火葬の後、その遺骨は大阪市設「南霊園」で斎場保管される。南霊園の管轄は大阪市環境局だ。その環境局では実際のゴミも扱っている。これが路上生活者たちに、「死んだらゴミ扱い」という誤った風聞となって伝わっていったようだ。

 路上で行き倒れて死亡した、身元の確認できない「行旅死亡人」も同じ扱いである。ただ、それではきっちり埋葬してほしいのかと言えば、そうでもないところが、路上生活者たちの複雑なところだ。

「手厚く葬ってくれとまでは言わん。ただ、そっと葬ってくれたらそれでええんや…」。カツトシさんが言う「そっと葬ってくれたら」というのは、もし自分が死んでも、行政による家族への連絡を控えてほしいという意味である。

 カツトシさん本人の言によると、10代でヤクザ組織入り、20代後半の頃、「下手を打って(失敗して)」、組織から逃げ出した。以来、この西成、山谷(東京)、寿町(横浜)といったドヤ街でずっと路上生活を続けきたという。彼は、いまだにヤクザ組織から「指名手配」がかかっていると信じている。

「地元には顔向けでけへん身や。死んだゆうたかて、わいの(自分の)存在がわかったら身内が迷惑するわな。せやから、いつ、どこで行き倒れても、わいは身元がわかるようなもんは持たへんのや!」

【 ヤクザ組織からカネを持ち逃げ 多額の現金を持つ路上生活者も 】

 あいりん地区には、カツトシさんのように、何らかの人に知られたくない事情でやって来た人が多い。彼らが自らの出自を頑なに明かさないのは、せめてもの尊厳を守りたいという切ない思いが背景にある。それは死後も同じ。せっかく恥ずかしい思いをしないように歯を食いしばって生きているのに、死後にうっかり尊厳を冒されるようなことは受け入れ難いのだ。

 カツトシさんは、「仲間には内緒やけどな…」と言いながら、普段、貸しロッカーに入れているという現金30万円程が入った布製の巾着袋を見せてくれた。もし、どこかで行き倒れたときに、「葬式代として使ってもらうため」だそうだ。

 事実、警察関係者や地元の葬祭業者らによると、あいりん地区を根城とする路上生活者のなかには、「10万円から50万円程度」の現金を常に持っている者が時々いるという。やはり「葬式代」目的である。

 さて、2016年9月には簡易宿泊所で約2000万円の現金を持った遺体が発見されるという事件があった。

 こうした現金は、路上生活者が日雇い労働や空き缶拾いなどで働いて、あるいは相続で得たカネだけではないようだ。地元警察関係者は言う。

「絶縁ヤクザが組織からカネを持ち逃げ、それをそのまま後生大事に持っているケースもある。数年のヤクザ修行の後、やっと一人前になってシノギを任され、多額の現金を目にしてついそのまま持って逃げてしまった…というわけ。急に羽振りがよくなると目立ってしまう。だからカネは使えない。結果的に、持ち逃げしたカネが葬式代となる」

 このようにあいりん地区で暮らす路上生活者がしばしば多額の現金を持っていることは、地元のワルの間では知られている。だから深夜、路上で寝ているとき襲撃対象となるのだ。警察に被害届を出さない理由は、「その出所を探られたくないカネなのでは」(警察関係者)という見方もある。

 たしかにカツトシさんも、「あんまり人には言えんカネやけどな」と言っていた。もしかすると、約30万円の現金も、何か“訳アリ”なのかもしれない。

「どんなカネでもカネには違いない。これだけあったら一心寺さんでも四天王寺さんでもや、わいを“仏さん”にしてくれるやろう?」

 欠けた歯をむき出しにして笑いながら、地元では「無縁仏」の納骨を受けつけているといわれている有名な寺院の名前を挙げた。だが、カツトシさんが亡くなった場合、事は本人が思うように進まないのが現実だ。

【 本人の希望通りに埋葬されない 路上生活者の処遇の難しさ 】

 まず路上生活者であるカツトシさんは、根城としている大阪市西成区に住民登録をしていない。それに「身元を示す」ようなモノは、日頃から持っていない。なので、もし死亡した場合、発見されると「行旅死亡人」として扱われる。

 現金を持っていた場合、これが葬祭費用に充当される。しかし火葬後、どこに埋葬してほしいかという希望は、たとえメモのようなものを残して身に着けていたとしても、「希望は叶えてあげられない」(大阪市関係者)のだという。

「行旅死亡人は火葬後、斎場保管されます。その間、官報で行旅死亡人の所持金や所持品も公告して、家族の引き取りを待ちますが、まず現れません。死亡後、1年の間に引き取り手がなければ、大阪市設『南霊園』にある『無縁堂』に埋葬されることになります」(前出・大阪市関係者)

 では、カツトシさんが希望する「一心寺」や「四天王寺」への納骨を実現するには、どうすればいいのか。あくまでも一私人の立場で前出・大阪市関係者が語ってくれた。

「親しい友人・知人、支援NPO関係者でもかまいません。遺体を引き取ってもらえる人がいれば希望を叶えることができます」

 この場合、本人がメモにして希望を残しておくことが大事だという。「遺言」の形を取るのである。

 あいりん地区にあるカトリック教会「西成 ふるさとの家」にも納骨堂がある。ここへの納骨を希望する場合は、「本人が生前、死後の納骨を願い出なければならない」(西成 ふるさとの家)という。ただし、もし亡くなってから家族が見つかった場合、その家族が「(遺骨を)連れて帰る」といえば家族の希望を優先することになる。

「どんな事情があれ、家族が引き取ってくれるというのは、ここあいりん地区では幸せな人なんですよ。行政や警察、それから病院やお寺に教会、亡くなった人のご家族を探しあてて連絡を取っても、多くの家族は、連絡そのものを嫌がりますから」(地元・葬祭業者)

 確かに、「関わりたくない」とばかりに避ける家族も少なくないなかで、「引き取りたい」と申し出る家族がいる人は幸せなのだろう。しかし当の本人には、家族に知られたくない事情があったりする。なかなか難しいものだ。

 一方、身寄りのない生活保護受給者はどうか。「孤独死」のケースでは、まず、なんらかの形で死亡の連絡が市に届くと、ケースワーカーがあらためて親族を探し出すことになる。

 親族を探し出すのは「死亡届」を出すためだ。これを出せるのは、親族、同居人、家主(地主や土地家屋の管理人を含む)に限られている。意外にも行政の立場であるケースワーカーは死亡届出人にはなれないのだ。多くは家主が善意で引き受けるという。

【 何も書かれていない位牌  読経が行われない葬式 】

 医師からの死亡診断書を添えて死亡届が市役所に提出されると、火葬、納骨という流れになる。

「ここから後は、市から委託を受けた葬祭業者にも手伝っていただきます。身寄りのない生活保護受給者を死亡地にお迎え、安置、納棺、火葬、骨上げ、骨壺に入れるまでです」(大阪市関係者)

 市から委託を受けた葬祭業者は「葬祭扶助」費を受け取る。その額は、「大阪市の場合だと20万1000円以内」(葬祭業者)だという。

「口さがない人は、葬祭業者はこの葬祭扶助費20万1000円のなかで儲けを出すために、遺体保存のためのドライアイスを使っていないとか、供物の花を造花にしているだとかいいます。しかし、そういうことはできないものです。信用に関わりますから」(前出・葬祭業者)

 大阪市関係者によると、この葬祭扶助費の範囲内で葬祭業者は「霊柩車を手配し、運転し、ご安置し、火葬場にお連れするとなると、葬祭業者の利益はほとんど出ていないのではないか」と話す。

 いわゆる「葬儀」は、葬祭業者により多少の違いがあるものの、概ね、火葬場に着いてから葬祭業者の社員たちの手で行われるという。「ただ、私たちが手を合わせて終わりです。祭壇はテーブルです。何も書かれていない位牌と供物を備えています」(葬祭業者社員)

 読経は行われないという。

 そうした葬儀の実態に大阪市関係者の1人は、「せめて(亡くなった)ご本人と縁のある信仰で送ってあげたいが、現状ではこれが精一杯」と語る。僧侶や神父を呼べば、その分、費用がかさむ。交通費だけを支給するにしても、その財源を捻出するには、さまざまな手続きを経なければならない。

「大阪市では、『行旅死亡人の救護及び埋火葬』費は28年度は1485万8000円、29年度には1340万6000円を。同様に『葬祭扶助』費は28年度は8億9274万円、29年度には8億7026万9000円を計上しています。これでもまだ足りないくらいなのです。予算的には、これ以上の手厚い葬儀の実施は難しいと言わざるを得ません」(大阪市関係者)

【 酒を呑んで寝込んだまま… 「意外にも安らかな死に顔の方が多い」 】

 あいりん地区での葬祭扶助の頻度は、週に1度、ないし2度。多いときで週に3度程度だという。地元葬祭業者が語る。

「西成区の死因で第1位はがん、2位は心疾患という大阪市の統計が出ていますね。でも、それは西成区全体の話ですよね?あいりん地区だけに限れば、がんというのはちょっと違うのではないかなと…。時に、どんな死因にでも用いられる『心疾患』のほうがしっくりくるのです。実際、お酒を呑んで寝込んだまま亡くなった方も、死因は『心疾患』とされることが多いと聞きますから」

 今月初旬、まだ肌寒い時期、西成界隈を朝早い時間に歩いていると、いつものように西成警察署近くの路上、西成の象徴「負けない」の看板の下で寝ていた年配の男性がいた。2時間経ってもまだ寝ている。見回りをしていた地元NPO関係者に声をかけた。

「もう寒くはないし、まだ暑くもないし…。もう少し寝かせてあげましょう。もう1度私が見回りしたときに寝ていたら起こします。消防には今から連絡しますので。きっと起きたときのほうが、お辛いのでしょうから」

 過去、死亡した路上生活者も何度か見たことがあるというこの地元NPO関係者は、あいりん地区で路上死する人は不思議に、死に顔が「とても安らか」なものだという。「路上といえども、人の気配がする中で旅立つのですから…。閉め切った部屋の中で孤独死するよりも、もしかすると幸せなのかもしれません」

 こう記者に話し終えると地元NPO関係者は言葉を繋ぐようにいった。

「でも、辛いですけどね。だから、彼らの居場所を社会がきちんとつくってあげなければならないのです」

【 再開発で変わりつつあるあいりん地区  路上生活者たちはどこへ行くのか 】

 あいりん地区は、再開発によって年々、その景観が変わりつつある。今ではかつてほどの混沌とした様子は薄れ、他の大阪の街並みに近づきつつあるくらいだ。これに伴い、「路上で亡くなる人の数も減ってきた」(警察関係者)という。
 
 4月24日、高級旅館を手掛ける「星野リゾート」(長野県軽井沢町)が、あいりん地区に隣接する南海・新今宮駅の市有地(浪速区)に高級ホテルを建設するという計画を発表した。2022年開業予定だという。

 この計画に対する地元民の声は、二分している。高級ホテルの建設により「あいりん地区住民の行き場所がなくなる」という心配の声、そしてもうひとつが、「住民が変わる」という期待の声だ。地元住民のひとりが言う。

「バックパッカーの若い外人さんも来るようになって、『あいりん』も変わったよ。緩やかながらでも、変わっていくよ。ずっと同じゆうわけにはいかんやろ」

 22年のホテル完成時、果たしてあいりん地区住民の「死」は、今とどう変わっているのだろうか。行政関係者やNPO、葬祭業者の話を聞くにつれ、路上生活者たちの現状を大きく改善できるような、抜本的な政策があるとは思えない。そんな中であいりん地区が再開発され、きれいになった街並みにそぐわない彼らが姿を消すのだとすれば…。それはそれで空恐ろしい気がする。

 ある路上生活者の男性は、記者が「あいりん地区で暮らす人の『死』について取材させてもろうてます」と告げると、勢い良くこう返してきた。

「死?死んだらやな、生き返るだけや!みんな、そうやって生きてるんや!!」

 カラ元気の裏に絶望が見え隠れするような大声。彼らの生活、そして死が少しでも改善されますように。祈るような気持ちになった。


若干違うと思うのは、野宿者支援をしている寺院教会の教役者に頼めばたぶん葬式に出席して祈りをあげてくださる先生は多いと思う。でも行政がやらない、若しくはやる時間が無い、という点。

そして僭越ながら知っている情報で付け加えると、
一つ目は家族と寄りが戻るのはとてもいいことだ。一番の幸せな事だろう。だからこそ怖い。最後の最後でどんでん返しがあったら頑張ったいままでの強がりの糸が切れてもう気力を失ってしまう。
小田原で野宿をしている人のご家族が長崎にいることが分かり、僕らが仲介して家族と連絡が取れた。そして帰って来るなら面倒を見たいとまで言ってくれた。小田原市に相談をしたら長崎までの特急での運賃を支給してくれた。贅沢か?いやそうじゃない。考える時間があれば、その不安に負けて大阪で降りて釜あたりに逃げ込んでしまうことも考えられることを市職員は知っていたからこその裁量だったのだと思う。安堵直前の不安ほど怖いものはない。

そして野宿生活者がアパートに入居して1年以内に亡くなることも多い。野宿をしている方と野宿を余儀なくしている方は違う。前者はその場所で生きる楽しみや喜び、また権利と義務を知ってそこでの生活に自己評価である程度の満足をしている方。後者はや諦めて生きている方やどうにかしてほしいというSOSを発信している方だ。
小田原でも現存野宿をしている方は前者であったり、無料低額宿泊所ではなく直接アパートへ居宅設定が出来れば望むという方がほとんどだ。
自分の常識に当てはめて居宅を強要するのは間違いでもある。

そしてこの長文のレポートですら、この街の一つの顔を描いたに過ぎないことを忘れてはならないが、それでもこれだけのレポートをまとめ上げてくれた秋山謙一郎さんとこの問題を広く世に広めてくれたDiamond onlineさんに感謝を申し上げたい。

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