ブラサイジョーものがたり(episode5 小田原評定)

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「出羽守を儂の部屋へ呼べ」氏邦は周囲に聞かれないように密かに告げた。出羽守は5代にわたって北条家に仕える乱破(忍び)の首領で名を風魔小太郎と言う。
部屋に帰ると間もなくして出羽守が静かに部屋に入ってきた。「ひとあばれしてもらえぬかのぉ」その言葉に直ちに出羽守は「黄瀬川ですか、久しぶりです」とにやりと笑った。
今から9年前、武田勝頼は上杉家の後継者争いに端を発し北条氏と疎遠になった。そしてそれをきっかけに北条の伊豆領に大軍で攻め入ったことがある。その際黄瀬川三枚橋に陣を構えたが、そこに風魔一族が夜襲を仕掛け、結局のところこの攻撃を失敗に終わらせた。出羽守はそれを懐かしそうに思い出し口元を緩めたのだろう。
「では」、と出羽守は部屋を出ていく。
時ほぼ同じころ氏直に松田憲秀が耳打ちをした。「安房守の奴はきっとわれらの決め事に反して兵を出しますぞ。こうした大きな戦いに関しては小さな出来事が勝敗を決めることがありますれば配下の目配りは大事ですぞ、お気をつけなされ」齢三十を超えたとはいえ、この北条は評定衆の意見が強く、また父氏政も隠居をして江戸城に居れども氏直に指示をしているのが現実。こうして古老の家臣にそう言われると不安が湧き上がる。「憲秀、どのようにすればよいであろう?」名前の通り素直な氏直は顔色がすぐに表れる。「まずは動きの速い出羽守を抑えることかと。さっそく密偵として三増から甲州を廻らせませ。出羽の軍勢は4軍です、4か所を探れと仰ればカタが付くでございましょう」
こうして北条氏による奇襲攻撃と徳川の北条加担は水の泡に消えた。
そして松田憲秀はひそかに堀秀政宛の書状を認めた。
内府殿が秀吉につくとなれば我ら北条に勝ち目はございません。殿のお命並びに領土の確保をお願いしたい旨を秘密裏に殿下に願い出てもらえぬか…、と。


20160503-31
20160503-32
(桜の馬場は大森時代の城址と言われている。聖地がある程度で来ていたので北条時代もここには大勢の兵を置いておける場所となったのだろう。城下張り出しという名の場所は今は宅地開発も進み素敵な住宅が立ち並ぶ中、史跡がある。共生を望みたい。)

20160503-33
(城下張り出しから堤を登る。城の後方に小田原の海が臨める。隙間ないほど軍船が並んでいたことだろう。それにしても総構えから城がこんなに遠くに見えることから大きさが分かるというものだ。)

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