ジョン・ラーベ

戦争は狂気だ、というのは全くで、第二次世界大戦時は日本軍も他国軍も非道を繰り広げていたのは間違いない事実で、でも言わゆる戦後処理と言う言葉で代表される殺めてしまった方への鎮魂、破壊してしまった町や文化への補償、その対応は国家によっても酷さによっても、また戦後の歩みによっても違い、今もなおぎくしゃくしている国があることは事実なわけです。
その国の一つに中国があげられ、事象としては南京の大虐殺があげられます。

人によればそんな多くの方を殺めたりしない、とか、戦争なのだからしょうがない、とか言いますが、反省のなきところには未来はなく、そして親だけを考えれば父親や母親が1人殺されたとしてもその人にとっては全人生の大きな最大級の悲しみでそこには人数は関係ないものだと思います。
当時の新聞には

20151202-02
(写真はウィキペディアより借用)

ニュースも載っており、そしてこのニュースをなぜ載せ方と言えば、戦争の悲惨さを報道するのではなく、国民を鼓舞するためのプロパガンダ的な要素を感じます。
国民もこうした記事を見て高揚し「一億総火の玉」「ほしがりません、勝までは」と国家の一員として戦争に勝つことだけを目的に生きていました。
何がそうさせたのか? は、従軍慰安婦問題とも関わりますが、軍直属なのか、軍下請けの民間なのか、の違いは有れど、「おかしいことをおかしいと言えない環境」であり、「選民主義」として威張るのは当然という気持ちが多くの日本人の中にあったからだと思います。軍部とそれに癒着する商人は「魚心あれば水心」阿吽の呼吸でしょうから、「従軍慰安婦」の問題は国家の問題だとは思いますが。

南京では酷い虐殺はありました。それは上記新聞報道でもお分かりの通りかもしれません。が、その戦後の補償問題では被害者の中国国民と加害者の日本の為政者の間には大きな溝があり、強いては日本国民の中にもこの問題を問題視するなかれ、の意見を持っている方は少なからずいるようです。

そんな訳で「ジョンラーベ」は(売り上げが見込めなかったり、威圧行動が起こる危惧があるため)日本では配給会社がつかず、劇場公開ではなく、市民が上映権を購入しての自主上映会が各地でなされている現状です。

20151202-01

そうした背景を鑑みた監督はビデオメッセージで「南京事件が日本で極めて難しい問題であることを知っている」と述べたうえで、「この映画は日本を批判するものではない」と何度も繰り返しました。
僕らは、この映画を通し何を感じるべきなのだろうか?
それは、狂気に流されない感情ではないでしょうか?

約3時間の超大作。でも長さは全く感じられませんでした。
そして一番強く記憶に残ったのは

先に本国ドイツに帰る奥さんの乗った民間船を銃撃されながら、自身も銃を突き付けられながら、インシュリンすら手に入らず朦朧となりながら、「赤の他人」の中国人たちを助けたジョン・ラーベ。
しかしそんな感動の主人公ですら、この局面を打開するためにはヒットラーにお願いして無慈悲な日本軍の蛮行をやめさせるように依頼することを本気で考えた点です。
母国でヒットラーがユダヤ人たちを斬殺しているのに、です。

そこにあるのは何人だからとか男だからとか、壮年だからとか、一つの括りで括ってみられるものではないのでしょう。
個別に「私は自分の意見でこうする」ことを明確に言う姿勢だったように思われます。
今の日本で僕らもいとも簡単に殺人を犯してしまう人たちを特集されて「日本人は」と語られればそれはそんな一言で括ってほしくないと思いますし、ジョンラーベとヒットラーは同じ時をドイツ人として過ごした人同士ですし、日本の歴史内でも台湾中部の霧社を襲撃した将校と烏山頭ダムを作った八田與一氏は同じ時代を生きた日本人です。朝香宮鳩彦王が非道な命令を出している陰で杉原千畝氏は多くのユダヤ人を救いました。

ラーベが記録した日記は長いこと行方不明になっていたそうです。それだけこの史実を闇に隠そうという時代が長かったことを意味します。
自ら(国家)の恥部、汚点を隠したい気持ちが日本にもドイツにも会った中で、ドイツはその殻を破った…。
そしてそれを見た若い監督の作った作品。ですから監督自身もノンフィクションに基づく「フィクション」であると語っています。しかしそのフィクション性が史実より悲惨だったのか、逆なのか、は各個人に委ねられています。
戦争はダメだという表面的な話ではなく、戦争に持って行かされそうになる権力者の圧力にも対抗する力、何か大いに感じるものがありました。個々が自分の意見をしっかりと口にすることでの反省、監督のメッセージではないですが、この映画を通じて発揮しなければいけないスキルのような気がします。

7月に映画をご覧になられたUnknown Lady's DiaryさまのBlog
http://azu-mir.hatenablog.com/entry/2015/07/13/231533

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