羊飼いと狼

羊飼いの少年は、村から遠くない暗い森の近くで主人の羊の世話をしていました。やがて少年は牧草地で過ごすのがとても退屈になりました。気晴らしにできることは、犬に話しかけるか羊飼いの笛を吹くことだけでした。

ある日、羊と静かな森を見ながら座り、もし狼が来たらどうしようかと考えていたら、気晴らしによいことを思いつきました。
主人は、狼が羊の群れを襲ってきたら助けを呼べ、そうしたら村人たちが狼を追い払うから、と少年に言ってありました。そこで、今狼らしいものは何も見えなくても、少年は声を限りに「狼だ!狼だ!」と叫んで村の方へ走っていきました。

思った通り、その叫び声を聞いた村人たちは仕事を中断し、とても興奮しながら牧草地にやってきました。しかし、着いてみると、少年が自分のしかけたいたずらに体を折り曲げて大笑いしていました。

ニ、三日後、羊飼いの少年はまた「狼だ!狼だ!」と叫びました。またもや村人たちは少年を助けに走って行き、また笑われただけでした。

すると、ある夕方、太陽が森のかげに沈んでいき、影が牧草地に長く伸びていってるときに、本当に狼がやぶから飛び出て、羊に襲いかかりました。

少年は恐ろしくて「狼だ!狼だ!」と叫びながら村の方へ走っていきました。しかし、その叫び声が聞こえたにもかかわらず、村人たちは前のように助けに走っていきませんでした。「二度とだまされないぞ」と村人たちは言いました。
狼は少年の羊をたくさん殺し、それから森にこっそり逃げていきました。

嘘つきは真実を話している時でも信じてもらえません


有名なイソップの『羊飼いと狼』のお話。
この話の本当の教訓はなんだったのだろう? ふと、そんなことが頭の片隅に発生し、それは夏の入道雲のようにむくむくと膨らんでいきます。
子どもの頃から聞き及んだこの話は、うそをついていると信じてもらえなくなる、という少年の立場に立った教訓。
でも、少年が子どもがてらに大金持ちで羊をたくさん所有しているはずがなく…もしそんないいところのお坊ちゃまなら「じいや」や「ばあや」に囲まれて生活しているでしょうから、この少年が面倒を見ている羊は村人みんなの羊なのでしょう。数匹ずつの羊を面倒見るのではなく村のみんなのを託しているからゆえに、有事の時には村のみんなが駆けつけてくれたのだと思います。
実は被害にあったのは少年ではなく村人です。自業自得とは言えないですが、緊急時に出動できずに被害を拡大してしまった、というお話なのでしょう。これがこの物語の本当の一番のポイントだと思います。

つまりは何度もうそをつかれていたなら羊飼いを他の子どもに交換すればいい事なんだろうけれど、変えることを怠った。
徒労の習慣化によって勝手に正常化バイアスが働き「今度もうそだろう」と思い込んでしまう事。それでも誰かが行けばしょうがないなぁと思いながらついて行くかもしれませんが、同調バイアス(集合的無知)が働き自分だけが損をしたくない、馬鹿にされたくない、被害者になりたくない…と言ったような脳の働きが行動を妨げます。

今度も大丈夫、という慣習化。災害が巨大化になった昨今。土砂降りだったのがゲリラ豪雨の鉄砲水や地下の灌水につながること。大風だったのが日本ではほとんど発生しなかった竜巻になってきたこと。
そして地震と噴火の予測。人は平時の時はとかく忘れがちになります。驚きをもって食い入るようにTV報道を見ていた僕らはいつしか、ゲリラ豪雨や竜巻の言葉に日常化した感覚を持ってしまいます。震度3や震度4には驚かなくなってきました。
大地震は必ず発生します、という言葉にうなずきながらも、危機感はありません。

「備えあれば憂いなし」だよと呼びかけてくれるコーション信号として頭の片隅に注意信号を覚えるように、というのが「羊飼いと狼」の現代風の読み方ではないでしょうか?

枕元には非常持ち出し用のリュック 用意できていますか? 少年が嘘をついたのが悪いと言ったところで食べられた羊が戻ってくることはありません。

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