海外ホームレス事情 カナダ編(下)

コミュニティセンターは、市内の配食ボランティアを出来る限り把握し一覧にしてホームレスの方にわかるようにしています。
ここバンクーバーは行政と市民ボランティアの関係は非常に良好のようです。わが町小田原も福祉関係の部署は非常によく動いてくれていますが、それ以外の部署に行くとどうも理解が足りなかったりします。
数年前、小田原市役所職員から(財)小田原市公益事業協会に移動した人が、市民からの通報を受け、警察と一緒に、同施設の裏のところで寝ていた野宿者を強制退去したことがあります。ちょうど雨天であったし、また深夜という事もあり、朝になったら退去するという嘆願にも聞く耳を持たずに夜中に強制排除した経験があるわが町ですので、市長を中心として全市を挙げて人権に本気に取り組む姿はうらやましい限りです。

食事や物資支援、そして生活相談などの総合サポートをしているファーストユナイテッドチャーチを実例に話が進められました。
ここはもともと名前の通り教会でしたが、信者数の減少により新たにボランティアとしての存在価値を見出したところだそうです。ですので毎週の日曜日に礼拝が行われることもなく、希望者がいれば会堂の片隅で礼拝はなされますが、教会堂はベッドルームとなっており、全家財道具一式の大きな荷物をたくさん持って歩いていると見た目にもホームレスであると蔑視されたり、また就職の面談にも悪影響を起こしてしまうので、希望者は地下にあるロッカーに荷物を置くことが出来たり、手紙や電話の無料利用が出来たり、様々な物資の提供を受けたりできるそうです。
教会が宗教施設であり、そのベースは信仰に基づく祈りの場であることはわかりますが、その『宗教』としての信仰の表現の場として困窮の人たちのホッとできる空間というのはキリスト教的には十分ありだと思います。
たとえば説教がインターネットを使ってのバーチャルに変わることはできても、人と人との交わり、人の物理的な生活は取って代われません。教会がこうした形で使われることは神様のみ心に沿うものだと思います。

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(左上:教会、右上:礼拝堂のベッドルーム、左下:教会運営のストアー、右下:教会地下のロッカールーム)

こうした食事や生活雑貨は、ファストフードのサブウェイやA&W、シャンプーなども近隣のホテルや化粧品メーカーからの提供があったりと、企業の協力も特記すべき点があります。
また、市民が気軽に古着を持ってきてくれるのでそれをThriftStoreで販売し、野宿者支援の経費としたり、またこの町独特のビックイシューのような雑誌販売制度があったり、と町ぐるみの感がありました。

ホームレスの方は、アウトリーチ(夜回り)という形でボランティアスタッフと出会います。リサーチの結果、希望者にはシェルターに入ってもらいます。
そしてカウンセリングをしてトランジッショナルハウジングで生活のトレーニングします。それは例えばごみの出し方や整理整頓の仕方、金銭感覚や計画的なお金の使い方などなどです。
しかし、それでも薬物の依存症の方などでどうしてもできなければサポーティングハウジングの方で生活をします。ここでは投薬の管理なども専門のスタッフがしてくれます。

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(各個人の薬がこのように用意されている)

明日に希望がある時は社会復帰に前向きですが、希望を見いだせなくなると自暴自棄になるのは容易に想像できます。
自暴自棄になれば、薬で失望感をごまかす人が出たりします。
その明日の希望を失わさせる理由の一つとして、民族差別があげられます。ネイティブアメリカン(カナディアン)の方々が都会から追い出されるようにこの地に押し付けられたり、また中国系の移民の方が言葉が通じない故に仕事にありつけない。同じくアジア諸国の女性が騙されてセックスワーキングを余儀なくされる。
そうした人たちの人権に対しても守る意識は高いようでした。

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百聞は一見にしかず、とか申します。海外の事例は、日本での支援活動だけではまだまだ分かりにくい側面もあります。
来4月別件でカリフォルニア州サンノゼに行く用事があり、そこで現地で牧会をなされている山本牧師にお世話をお願いしていますが、師は同地でホームレス問題にかかわっています
シリコンバレーというITの中心地は急激に高所得者の流入により諸物価(特に住宅)の高騰を引き起こし、郊外の通称ジャングルというところに、家を手放さざるを得ない多くのホームレスの方が生活をしていましたが、昨年末警察権力により強制排除と封鎖にあいました。

資本主義の世の中で、どうしても経済活動を続けなければ町が存立できないという一面はあります。しかし、町を続けるがあまり町に住む人がいなくなればそれは本末転倒です。
以前から住んでいる人が追い出されない社会、他地域で蔑視・排除された人がびくびくしないで住める街、他者との間に信頼と尊敬と愛にあふれる町。
あちこちの事情を知り、よいところをまねをしていくことで、そんな街を作り上げられればいいですね。
お二人の講師の方をはじめ、会を閉じた後飲みながら語れた多くのお仲間さんに感謝です。

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