美味しんぼ111巻

僕の住む地域に「美しい久野・里地里山協議会」というグループがあります。
特に「日本有数の『何か』」があるわけではない極めて普通の里地ですが、そこに住む者にとっては何にも代えがたい風景であり、居心地の良さであり、安らぎの空間であり、生活の基盤です。
先人が土地を耕しその汗を知っているからこそ、今生きるものがその土地に愛着を持ち、愛おしく大事に耕すのはただ生業としての農業ではないわけです。恵みの受け継ぎを感謝した中に生まれる「農業」という産業文化です。

福島の原発事故を受け、「もう住めないのだから移動したらどうなのか?」「食べて支援などもってのほか」という自分の愛する土地をけなすような発言があった事を僕は受け入れられないのは、小田原の町だったらと推察した時に、その言葉こそ傷口に塩を塗り込む痛さを感じるからです。

今回の事故で僕の中で一番の悲しい出来事は、渡辺はま子さんや相馬の酪農家の男性のように、住む場所と生業という生活の基盤を失った人に寄り添えないことです。

もちろん一人一人家庭環境や考え方の違いがあります。小さなお子さんがいる家庭はそのお子さんを守ることが第一の使命で、その人たちに「食べて支援」を強制するのはいかがかと思いますし、不安を増長させることはあってもいい解決にはならないと思います。
が、僕らのようなもうこれから子どもを産むこともない家庭にとっては、「気にすることなく『原発の電気』を使用していた」懺悔の意味を込めても「食べて支援」「(遊びに)行って支援」は有効な方法だと思います。
子どもがいない、そして借地持家の我が家は、いつかこの家を解体して更地にして大家さんにお返ししてという人生最後に向けた計画を立てなければなりません。そのためには「引っ越し」が余儀なくされていますが齢五十の半ばの夫婦には『引っ越しは面倒だねぇ』という言葉が漏れます。
それでも仕事が変わるわけではないし、行く先での希望があふれている引っ越しですから、まぁしょうがない、というあきらめがありますが、落ち度がなくしかも不安ばかりの引っ越しをさせられるとしたらそのストレスはいかようなものか察するに余りあります。

しかも家族の墓や思い出や近隣の友人・仲間との別れ。宝物を捨てなければならない喪失感。
それを捨てなくても大丈夫な人から言われた痛み。

そんなことを想像したら、被害があったとしても故郷に住みたいという気持ちは痛いほどわかります。

地域コミュニケーションが希薄になったという事実はありますが、僕はそれは決していい方向ではないと思っています。
頭書記した久野のグループも、もっと言えば僕の集う教会も、人は一人で生きて行くものではなく、隣人を認め合い仲良く社会を形成して生きて行くことを、悠久の歴史の中で学んだゆえに作られたものだと思います。
コミュニケーションをぶち壊したことが、福島原発事故の一番の悪でしょう。

20141212-01

賛否両論、大きな争論を巻き起こした「美味しんぼ111巻」が昨日販売されました。めったなことで漫画を買わない僕としては、この夏相馬・南相馬に行く前に買った「美味しんぼ110巻」以来の漫画本購入です。
でも僕はこの漫画本は十分評価できました。

それは「根っこ」という言葉で言い表した最小コミュニケーションの親子の話に結び付けて、この原発事故を大いに批判した内容は、上記に書いた僕の想いと非常に近いものがあったからです。

科学の失敗・ミスは事故は規模の大小に関わらず言えば多発しています。そして愛する家族という枠で考えれば100万人なくなった事故よりも最愛の家族の死の方が辛いのは大方の事実ではないでしょうか?
それでも福島原発の事故は、そうした事故と異なるのは、いくつかの町村のコミュニケーションをこの先半永久的にぶち壊したことでしょう。
辛さをなぐされてくれる社会の隣人がなぐさめるどころの騒ぎではない当事者なのが福島原発の一番の悪でしょう。
医学的な身体に与える影響は過去の事例も少なく、素人の僕が安全だとか危ないとかは言えません。それはたぶん漫画の作者も同じでしょう。ですから聞いた話を素直に載せていると思いますし、逸話の一つの「鼻血」も起因はそうかもしれないと当然ながら決めつけてはいません。
あくまでも氏が言いたいのは、「根っこ」というコミュニティの崩壊を起こした福島の事故を二度と起こしてはいけないという事でしょう。

この日曜に選挙があります。これだけの事故を起こしながら、「反省は反省」と棚上げし、原発再稼働に力を注ぐ政党の勝利があるとすれば、福島の方々の悲しみは報われないだろうし、日本の未来にも期待が持てません。

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